祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
奢れる者も久しからず ただ春の夜の夢の如し
猛き人もついには滅びぬ ひとえに風の前の塵に同じ
平家物語はこのような一節から始まるので、祇園精舎にはどんな鐘があるのだろうかと思う人が多いそうです。しかし、ブッダが生きていた時代にはどうだったかは分かりませんが、遺跡が発掘されて以降、祇園精舎に鐘はありませんでした。インドに旅行に行く人が増え、祇園精舎を訪ねる人も増えてくると、この問題にぶつかります。
そうです。ネットもスマホもない時代、「地球の歩き方」はあったのか無かったのかという昭和、祇園精舎を訪れる人は次々にこう尋ねます。
「祇園精舎の鐘はどこですか?」
鐘の場所を尋ねる日本人が多かったことから「日本国祇園精舎の鐘の会」が発足し、1981年(昭和56年)に、鐘と鐘楼が寄贈され、祇園精舎の遺跡近くの公園に設置されました。ちなみに、京都にある岩澤の梵鐘による鋳造とのことです。なお、同行していた私の師匠の写真で式典の様子などの記録を見たことがありますが、残念ながら現在は手元にありません。
・梵鐘・銅像製作の歴史(創業~昭和期)(岩澤の梵鐘)
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