管理人/中島法雄

便り

何を基準に物事を見るか

仏教と日本人の死生観をまとめている時のことです。本を読んだり、ネットで検索して様々な死生観を学びましたが、気になること難くさんありました。まず「死生観」とは何かを定義せずに、「死」が出てくる言葉があれば「死生観」なのか、「生き方」が「死生観」なのか、講座で大勢の人と一緒に考えていく上で、比較できる内容に単純化するのが難しかったです。また、ある「死生観」を書いているものの中に、自分の主張が正しいと言うために、都合の良い言葉をつなぎ合わせてあるものもありました。例えば、キリスト教の死生観が正しいという主張をする人の内容で、『仏教では「他力本願」と「自力本願」があり、これは矛盾する』というもの。これ...
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選んで、捨てて、納めるものは納める

インド・ニューデリーでの開催にあたって死の体験旅行では自分の大切なものなどを付箋に1つずつ書き出し、物語の過程で選んで捨てるという作業があります。物語の内容によっては、「まだ捨てたくないけれど、物語に例えば仕事を辞めると出てくれば、捨てなくてはいけない」など、自分の意志ではないものも選ぶこともあります。自分がいつ、どこで、どうやって死ぬかは分からないことです。死ではなくとも、様々な選択をする時に、その時になってみて、それは自分の選択かと問えば、その時にそういう条件がついているからということになります。自分で選んでいるようで、そうでないという見方もできる場合があるはずです。死の体験旅行に共感でき...
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老いては子に従え

どんな人でも幼児から成長し大人になります。その過程は千差万別であっても、誰もが次第に老化し、子どもや周りの世話を受けなければならなくなります。それは自然の摂理とも言えることです。『大智度論(だいちどろん)』にはこのようにあります。「女人の礼は、幼は即ち父母に従い、わかくしては即ち夫に従い、老いては子に従う」例えとして女性の生き方が示されているわけですが、男性も同じことです。“老いては子に従え”という言葉はここからきています。また、これは諸行無常(しょぎょうむじょう)につながります。ここでは“無常”つまり“常で無い”ということで“老いて子に従う”のであり、それが“無情だ”と勘違いする人がいます。...
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日本食ブーム

日本の食文化が海外で注目されています。主食である米を使ったもの、魚類や野菜中心の食事が古くからの日本食には多いですね。日本料理は健康的で体に良いと好評です。日本以外の世界各地には2万5千店の日本食レストランがあるといわれています。スシ、スキヤキといったものが代表格ですが、丼物、鍋物、うどん、そば、お好み焼き、仏教文化から普及した精進料理など、日本料理と一言で言っても幅広いものです。日本料理は醤油や味噌を使うものが多いのも特徴の一つでしょう。しかし、海外で食べる日本料理は何か日本で食べるものとは違うぞ??と、感じる場合が多いのではないでしょうか。私は海外旅行に行くという経験は少ないですが、幸運に...
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徳城寺 シタール演奏会

富山県滑川市の徳城寺で行われたシタール演奏会に行ってきた。徳城寺開山記念演奏会ということで、新聞の折り込み広告が入っていて行くことを即決。広告に会場には300名入ると書いてあったから、早めに行ってみたが、告知が遅かったからか観客は少なかった。正面の特等席で鑑賞させていただいた。私も寺院にいたらこのようなイベントをしたかったなとか、これから寺院でこのようなイベントの手伝いが出来たらなとか、インドに滞在していた時のこととか、色んなことを考えながら鑑賞した。とてもよかった。出演者はこの世界では有名な方々だったが、無料で見ることが出来た。伊藤公朗さんも曹洞宗で得度しているとかで、書類上はどうなっている...
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お坊さんの婚活支援

読売新聞に「お坊さんの婚活支援、高野山真言宗が後継者難で…他宗派注目」という記事が掲載されていた。この記事を元に、情報源を見てみようと高野山真言宗HPを見たところ、記事にあった「4月にHPで告知したところ」の情報も、「登録用紙のダウンロード」の情報はどこにもなかった。確認してから書きたかったけれど、情報を信じるとして・・・。寺院の後継者が少なくなっていることは結構前から言われている。法事や葬儀のお布施のみに頼っているというイメージがあり、実際、多くの寺院がそうで、それだけでは生活できなくて別に働いている方々も多い。寺院を守るというのは大変なことだが、一般市民にとってはあまりイメージが良くない。...
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新型インフルエンザ

私が住んでいるのは兵庫県です。新型インフルエンザが兵庫県で確認されたのはわずか1週間ほど前でしたが、確認されてから経済的にも多大な影響が出ています。小・中・高の学校が一週間休校になりました。また、関西圏には神戸、京都、奈良などの観光地がありますが、修学旅行や海外からの観光客のキャンセルが相次ぎ、大変困っているという声が身近に聞こえます。私の職場ではその影響で今週からマスクを着用して通勤するようにという命令がでました。この一週間、電車の中は半数以上がマスクを着用している異様な状況。個人的には大丈夫だと思っていても、僕と同じように会社の指示で着ける人も多いはずです。日本人は神経質になりすぎだと一部...
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ジャマー・マスジッド

ある日のインドでのこと。デリーにて列車の時間まで若干の暇が出来たのでジャマー・マスジッドに行くことにした。ここは2006年の春にテロがあり、犠牲者も多数出たというイスラム教(正確にはイスラーム)の寺院だ。日曜日ということもあり寺院までの道にはバザールが所狭しと出ていて、人も多くて暑くて思うように動けない程だった。やっとのことでたどり着き、入場料を払うつもりだったが、この日は無料で入ることができた。しかし、カメラを持っていたので150ルピー(570円)を払うことに。撮影しても、しなくても持っていれば払わなければいけないらしい。この値段はインドにしてみれば非常に高い値段。一緒に行った後輩の日本人青...
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善意の行方

2007年3月25日に発生した能登半島地震。震度6強の揺れは想像以上のものであったと思います。思いがけない地震の後、日が経つにつれて被害の大きさが露わになっています。地震の活発期に入ったと言われて久しい日本列島。北陸地方の地震としては2004年の新潟中越地震が記憶に新しいところです。自然災害の脅威がメディアなどがとりあげると共に、助け合わなければ復興が出来ないのは周知の通りです。私も体験した阪神淡路大震災は近年大都市で起きた地震として、助け合い、ボランティアが再注目された出来事でもありました。地震などの自然災害では、家屋倒壊などの被害に対する建て直しなどの問題が多いようでした。地震直後は水道、...
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礼拝に参加

日曜日、インド教育支援活動NPOの展示を英知大学で行いました。その土曜、日曜は『関西エスペラント大会』が行われていました。そのプログラムの中に『第54回関西エスペラント大会キリスト者分科会礼拝プログラム(Ordo de Diservo de Ekumenaj Kristanoj)』という少々長めの題のものがありました。興味はあったのですが、表題に"キリスト者"と書いてありますし、入れないと思ったのですが、親身にしてくださ沼波先生という方が、「私も今から行きますから、是非いらして下さい!!」という言葉で行くことになりました。英知大学にあるチャペルで行われた1時間のプログラムでしたが、前半30分は...
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エスペラント語

6月10日(土)~11日(日)に英知大学にて『第54回 関西エスペラント大会(La 54a Kongreso de Esperantistoj en Kansajo)』が行われます。エスペラント語とは、異なる言語の人々が共に使えるように約100年前に考案された世界共通語です。政治経済の世界における(国際語)英語に対して、民族語とも言われているそうです。英語を共通語にした場合、非常に大きいハンデキャップが生じるので、みんながハンデキャップを分かち合えるようにとエスペラント語を広めようとしているようです…。この言語にあまり馴染みはありませんが、私がボランティアをしているインドマイトリの会が展示で参...
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星を見上げて

先ほど、用事で遅く帰ってきた住職を門前まで迎えに行ったとき、ふと夜空を見上げるといつもより多くの星が見えました。今年の春は曇りや雨が多く、黄砂も観測される日が度々ありましたから、晴れて星が見える日は久々かもしれません。それにしても、まだ肌寒く感じられるので、もう少し暖かくなると動きやすくなるのになと思います。私がこれまでに一番綺麗に感じた星空は、インド・クシナガラで見たものでした。満天の星に流れ星、そういった空がそこにはありました。インド人だけではないと思いますが、昔から星の観測をして季節の移り変わりや、人の一生まで占ってしまいます。西洋でも星座で占ったりしますよね。それが好きな人も多いはずで...
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桜満開

ここ兵庫県宝塚市では、今が桜の満開です。きのうの強風にも負けず、満開を保っているようです。また、きのうは黄砂が観測され、あたりが霞んで見えたものです。中国大陸から砂が飛んでくるなんて、地球は広いようで狭いものなのですね。関係ないように思っていても、実はつながっているものは多いようです。私が子どもの時は近所の友だちと桜の花びらを袋一杯に集めて遊んでいた記憶があります。集めた花びらを一体、何に使ったのかは忘れましたが、花吹雪を演出して遊んでいたのかもしれません。桜の花を愛好する人は多く、花見や宴会が毎日毎晩繰り広げられているようです。飲みすぎ、食べすぎ、はしゃぎすぎに注意しましょう。桜はみんなのも...
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草抜き

日中、天気が良かったので草抜きに精を出しました。雨が多かったこともあり、少し油断していたら草が大きく育っています。草も生き物ですが、人間の美観にはそぐわないようなので、抜かれることになります。しかし、抜いても抜いても次々に生えてくるので、その生命力に感心します。小さな草でもいつの間にか花が咲いていて、子孫を早いペースで残していく方法を進化の過程で身につけたようです。人間もひと昔前までは生めよ増やせよで子どもを多く生んでいました。それは、人間の成熟するまでの時間がかかるのと、赤ん坊の時に病気や栄養失調で亡くなることが多かったからです。どんな国でも、限られた食料を睨みながら、家族や村で助け合い、時...
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瑞世に行ってきました

曹洞宗の僧侶はいくつもの段階が厳格に決まっています。そして、ある程度たつと瑞世(ずいせ)という儀式をする為に横浜鶴見の大本山總持寺と福井の大本山永平寺の2箇所に拝登(お参り)します。そこで大本山を開かれた御開山拝登、並びに祝祷諷経(しゅくとうふぎん)と瑞世上供諷経(ずいせじょうぐふぎん)という朝の法要の導師を務めるこが瑞世という儀式の主な部分です。ですから、瑞世は一夜の住職、または一朝の住職といわれます。これによって寺院の住職になるための資格を両大本山が認めてくださったことになります。ですから、この儀式は一生に一回のものです。3月23日午前中に寺を出発し、大阪より特急列車に乗り福井へ。福井駅に...
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「供養」も「祈祷」も

私が1年間修行した曹洞宗大本山である神奈川県の總持寺では、毎朝『大般若経』の展読祈祷をしていました。展読は経本を扇形に広げて右から左、左から右にパラパラとめくっていきます。簡単に言えば、願いごとをする時に『祈祷(きとう)』を供養する時に通常の『読経』をします。一般の方々には分からないかもしれませんが、「祈祷は本来の仏教じゃないから、止めた方がいい」「祈祷するのは仏教じゃない」と主張する寺院も多くあります。漠然とそんな考え方もできるかもなぁと思っていたのですが、本当にそうでしょうか??ブッダの教えは対機説法で、その人の状況によってその内容が変わったといわれています。人の悩みや求めに応じて、その解...
仏教を本気で学ぶ

伝光会摂心(でんこうえ・せっしん)

横浜鶴見の大本山總持寺では伝光会摂心会が毎年6月にが行われますが、2005年は6月13日から17日までの5日間です。「起きて半畳、寝て一畳」と言われる僧堂において、修行僧は一切の実務から離れて起居を共にし、一日中、只管(ただひたすらに)坐禅に打ち込みます。伝光とは總持寺御開山瑩山禅師が撰述された伝光録にちなむもので、お釈迦様の教えが光のように真っ直ぐに伝わるさまをあらわします。53代の仏祖を経て瑩山禅師に受け継がれた教え、伝光を学び、坐禅を修行することに励む集中修行期間が伝光会摂心会です。春に入門してきたばかりの修行僧にとっては試練の時です。足が痛くなり、立ち上がってもフラフラしてしまいます。...
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60数億人分の答え合わせ

なぜ生きているのかなぜ考えるのかなぜ迷うのかなぜ出会うのかなぜ別れるのかなぜ嫉妬するのかなぜ信じれるのかなぜ?という問いかけに答えてくれるものそれは自分自身です私は多くを問いかけられます。それに出来るだけ答えます。勉強中だからという理由で時には曖昧に答えます。分からない時ははっきりと分からないと答えます。仏教にはたくさんの経本があり、答えが書いていないか探します。しかし、いくら探しても具体的な答えは書いていません。私たちが学ぶ仏の教えは、過去の個人についての問題や答えです。また、普遍的なものであって、具体的ではないのです。その問題と答えを学ぶことは出来ますが、現実の問題とはズレが生じます。前も...
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仏教の分布について

日本は仏教国であるということが一般的にはいわれています。しかし、「信仰はないです」「先祖は大切にしますが…」といった意見もよく耳にします。さて、本当に日本は仏教国といえるのでしょうか?お盆やお彼岸にはお墓参りに行き、仏教的行事はするものの、仏教とかと聞かれれば首をかしげる人が多いのが現実です。新年が明けて、正月三箇日に神社仏閣にお参りに行きますが、神社なのかお寺なのか構わずにお参りできてしまうのも日本人の特徴でしょう。良くいえば寛容的な民族なのです。日本には元々、仏教も神道もなく、山の神、海の神といった自然信仰が主なものでした。日本の統一と共にその宗教を国が行うようになり、体系化されましたが、...
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『寺院センター』ウェブサイト管理人について

ウェブサイト『寺院センター』管理人の中島法雄です。仏教やお寺が好きで、一般の家庭から仏門に入りました。生まれた頃から居間には仏壇があり、お供え物のお下がりを楽しみにする子どもでした。仏壇に水を供えたり、金仏器にご飯を丸く盛り付けたものを供える手伝いもしていました。幼い頃は意識していませんでしたが、生家の宗派は浄土宗、本尊は阿弥陀様です。小学校二年生になって、僕の誕生日の翌日、同居していた祖母が亡くなりました。それから法事や月参りでお参りに来てくれるお坊さんに興味を持つようになりました。子どもの頃の仏壇は生活の一部だったけれど、お坊さんは特別な存在でした。こんな私の自己紹介を書くのも、仏教のこと...
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阪神淡路大震災でお寺が傾く(曹洞宗 正伝の仏法)

阪神淡路大震災は兵庫県南部で1995年(平成7年)1月17日5時46分に起きました。お師匠(水野梅秀)さんはその当時、宝塚市仏教会の会長をしていました。宝塚市というのはまさに兵庫県南部ですから、お師匠さんのお寺も倒壊は免れたものの本堂の柱が傾き、余震でいつ倒れるか・・・という状態でした。自分のお寺も心配だったとは思いますが、仏教会長を任されているという自覚から、原付バイクで宝塚市内の全てのお寺の状況を確認する為に東奔西走しました。(リンク先より)・阪神淡路大震災でお寺が傾く(曹洞宗 正伝の仏法)