【仏教用語/人物集 索引】

星を見上げて

投稿日:2006年4月25日 更新日:

先ほど、用事で遅く帰ってきた住職を門前まで迎えに行ったとき、ふと夜空を見上げるといつもより多くの星が見えました。今年の春は曇りや雨が多く、黄砂も観測される日が度々ありましたから、晴れて星が見える日は久々かもしれません。それにしても、まだ肌寒く感じられるので、もう少し暖かくなると動きやすくなるのになと思います。

私がこれまでに一番綺麗に感じた星空は、インド・クシナガラで見たものでした。満天の星に流れ星、そういった空がそこにはありました。インド人だけではないと思いますが、昔から星の観測をして季節の移り変わりや、人の一生まで占ってしまいます。西洋でも星座で占ったりしますよね。それが好きな人も多いはずです。星も自然の一部ですから、私たちと全く関係ないとはいえませんが、何だか考えると気が遠くなりますね。

仏教でも曼荼羅は宇宙の地図を表したようなものですし、お経にも占星術が登場します。例えば、大日如来という仏様は、星の動き、太陽が昇り、太陽が沈む、月が昇り、月が沈む、春になり、夏になり、秋になり、冬が訪れるという自然の営みで我々に語りかけています。

それは真理というもので、人間が良し悪しを決めたり、勝手に変えることのできない事実です。あり難いとか、あり難くないとかいう段階の話でもありません。仏教の縁起という教えの根本はそこにあるといえます。それを受け入れた上で生老病死などの四苦八苦、現代社会の新たな苦しみがあり、さらに、真理・事実だからと言って、それを仕方ないことだと片付けてしまうのではなく、助け合って共に生きていかなければいけないということなのだと思います。今夜の星はそう語りかけているようでした。

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