
中村元(なかむらはじめ)
インド哲学者、仏教学者。東京大学名誉教授、日本学士院会員。サンスクリット語・パーリ語に精通し、初期仏教の仏典などの解説や翻訳に代表される著作は多数にのぼる。「生きる指針を提示するのも学者の仕事」が持論で、訳書に極力やさしい言葉を使うことでも知られた。その例として、サンスクリットのニルヴァーナ(Nirvāṇa)およびパーリ語のニッバーナ(Nibbāna)を「涅槃」と訳さず「安らぎ」と訳したことがあげられる。訳注において「ここでいうニルヴァーナは後代の教義学者たちの言うようなうるさいものではなくて、心の安らぎ、心の平和によって得られる楽しい境地というほどの意味であろう。」としている。国際的な仏教学...