空也とは、平安時代中期の僧侶。阿弥陀聖(あみだひじり)、市聖(いちのひじり)、市上人と称されます。口称念仏の祖、民間における浄土教の先駆者として、空也流の念仏勧進聖は鎌倉仏教の浄土信仰を醸成したとされています。
空也自身は複数宗派と関わりを持つ超宗派的立場を保ち、没後も空也の法統を直接伝える宗派は組織されませんでした。踊念仏、六斎念仏の開祖とも仰がれますが、空也自身がいわゆる踊念仏を修したという確証はないといわれています。
門弟は、高野聖など中世以降に広まった民間浄土教行者「念仏聖」の先駆となり、鎌倉時代の一遍に多大な影響を与えたといわれています。
空也を現した彫像のうち、重要文化財として国が指定しているのは、六波羅蜜寺が所蔵する「木造空也上人立像」(運慶の四男 康勝の作)、荘厳寺(近江八幡市)所蔵「木造空也上人立像」、月輪寺(京都市右京区)祖師堂安置「木造空也上人立像」、浄土寺(松山市)所蔵「木造空也上人立像」です。いずれも鎌倉時代の作とされます。
彫像の特徴は、一様に首から鉦(かね)を下げ、鉦を叩くための撞木(しゅもく)と鹿の角のついた杖をもち、草鞋履きで歩く姿を表します。6体の阿弥陀仏の小像を針金で繋ぎ、開いた口元から念仏の声が形に表れたように取り付けられています。この6体の阿弥陀像は「南無阿弥陀仏」の6字を象徴し、念仏を唱えるさまを視覚的に表現しています。
生誕 延喜3年(903年)
命日 天禄3年9月11日(972年10月20日)
(空也上人像・六波羅蜜寺)
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