『教行信証』とは、元仁元(1224)年頃に書かれた親鸞聖人の著作です。正式名称は『顕浄土真実教行証文類』(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)です。全6巻からなる浄土真宗の根本聖典です。法然上人が著した『選択本願念仏集』の解説書とその正しさを証明した文書とされています。
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▶ 総序
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顕浄土真実教行証文類序
竊かに以みれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無碍の光明は無明の闇を破する恵日なり。
然れば則ち、浄邦縁熟して、調達、闍世をして逆害を興ぜしむ。浄業機彰れて、釈迦、韋提をして安養を選ばしめたまえり。斯れ乃ち、権化の仁、斉しく苦悩の群萌を救済し、世雄の悲、正しく逆・謗・闡提を恵まんと欲す。
故に知りぬ、円融至徳の嘉号は悪を転じて徳を成す正智、難信金剛の信楽は疑を除き証を獲しむる真理なりと。
爾れば、凡小、修し易き真教、愚鈍、往き易き捷径なり。大聖の一代の教、是の徳海に如く無し。穢を捨て浄を欣い、行に迷い信に惑い、心昏く識寡なく、悪重く障多きもの、特に如来の発遣を仰ぎ、必ず最勝の直道に帰して、専ら斯の行に奉え、唯、斯の信を崇めよ。
噫、弘誓の強縁、多生にも値い叵く、真実の浄信、億劫にも獲叵し。遇たま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ。若し也た此の回、疑網に覆蔽せられば、更って復た曠劫を逕歴せん。誠なるかな、摂取不捨の真言、超世希有の正法、聞思して遅慮すること莫かれ。
爰に愚禿釈の親鸞、慶ばしいかな、西蕃・月支の聖典、東夏・日域の師釈に、遇い難くして今遇うことを得たり、聞き難くして已に聞くことを得たり。真宗の教行証を敬信して、特に如来の恩徳深きことを知りぬ。斯を以て、聞く所を慶び、獲る所を嘆ずるなりと。
『大無量寿経』 真実の教
浄土真宗
顕真実教一
顕真実行二
顕真実信三
顕真実証四
顕真仏土五
顕化身土六
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