スッタニパータ

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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】11、学生カッパの質問

1092 カッパさんがたずねた、「極めて恐ろしい激流が到来した時に一面の水浸しの内にある人々、老衰と死とに圧倒されている人々のために、洲(避難所、拠り所)を説いてください。あなたは、この苦しみがまたと起こらないような洲(避難所)をわたしに示して下さい。親しい方よ。」1093 師(ブッダ)は答えた、「カッパよ。極めて恐ろしい激流が到来した時に一面の水浸しの内にある人々、老衰と死とに圧倒されている人々のたの洲(避難所)を、私は、そなたに説くであろう。1094 いかなる所有もなく、執著して取ることがないこと、これが洲(避難所)にほかならない。それをニルヴァーナと呼ぶ。それは老衰と死との消滅である。1...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】12、学生ジャトゥカンニンの質問

1096 ジャトゥカンニンさんがたずねた、「わたくしは、勇士であって、欲望を求めない人がいると聞いて、激流を乗り越えた人(ブッダ)に欲のないことをおたずねしようとして、ここに来ました。安らぎの境地を説いてください。生まれつき眼のある方よ。先生!それを、あるがままに、わたくしに説いてしださい。1097 師(ブッダ)は諸々の欲望を制してふるまわれます。たとえば、光輝ある太陽が光輝によって大地に打ち克つようなものです。智慧豊かな方よ。智慧の少いわたくしに理法を説いてください。それを私は知りたいのです、この世において生と老衰とを捨て去ることを。」1098 師(ブッダ)は答えた、「ジャトゥカンニンよ。諸...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】13、学生バドラーヴダの質問

1101 バドラーヴダさんがたずねた、「執著の住所を捨て、妄執を断ち、悩み動揺することがなく、歓喜を捨て、激流を乗り越え、すでに解脱し、計らいを捨てた賢明なあなたに切にお願いします。1102 健き人よ。あなたのお言葉を聞こうと希望して、多数の人々が諸地方から集まってきましたが、竜(ブッダ)のお言葉を聞いて、人々はここから立ち去るでしょう。彼らのために善く説明してやってください。あなたはこの理法をあるがままに知っておられるのですから。」1103 師(ブッダ)は答えた、「バドラーヴダよ。上にも下にも横にでも中間にでも、執著する妄執をすっかり除き去れ。世の中の何ものに執著しても、それによって悪魔が人...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】14、学生ウダヤの質問

1105 ウダヤさんがたずねた、「瞑想に入って坐し、塵垢を離れ、為すべきことを為しおえ、煩悩の汚れなく、一切の事物の彼岸に達せられた師におたずねする為に、ここに来ました。無明を破ること、正しい理解による解脱を説いてください。」1106 師(ブッダ)は答えた、「ウダヤよ。愛欲と憂いとの両者を捨て去ること、沈んだ気持ちを除くこと、後悔して残念に思うことをやめること、1107 平静な心がまえとおもいの清らかさ、それは真理に関する思索にもとづいて起るものであるが、これが、無明を破ること、正しい理解による解脱であると、私は説く。」1108 「世人は何によって束縛されているのですか?世人をあれこれ行動させ...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】15、学生ポーサーラの質問

1112 ポーサーラさんがたずねた、「過去の事柄を説示し、悩み動揺することなく、疑惑を断ち、一切の事物を究め尽くした師におたずねする為に、ここに来ました。1113 「物質的な形の想いを離れ、身体をすっかり捨て去り、内にも外にも『何ものにも存在しない』と観ずる人の智を、私はおたずねするのです。釈迦族の方よ。そのような人はさらにどのように導かれねばなりませんか?」1114 師(ブッダ)は答えた、「ポーサーラよ。全ての識別作用の住するありさまを知り尽くした全き人(如来)は、彼の存在するありさまを知っている。すなわち、彼は解脱していて、そこを拠り所としていると知る。1115 無所有の成立するもとを知っ...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】16、学生モーガラージャの質問

1116 モーガラージャさんがたずねた、「わたくしはかつて釈迦族の方に二度おたずねしましたが、眼ある方(釈尊)はわたくしに説明して下さいませんでした。しかし『神仙(釈尊)は第三回目には説明してくださる』と、わたくしは聞いております。 1117 この世の人々も、かの世の人々も、神々と、梵天の世界の者どもも、誉れあるあなたゴータマ(ブッダ)の見解を知ってはいません。1118 このように絶妙に見る者におたずねしょうとしてここに来ました。どのように世間を観察する人を、死王は見ることがないのですか?」1119 (ブッダが答えた)、「常によく気を付け、自我に固執する見解を打ち破って、世界を空なりと観ぜよ。...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】17、学生ビンギヤの質問

1120 ビンギヤさんがたずねた、「わたくしは年をとったし、力もなく、容貌も衰えています。眼もはっきりしませんし、耳もよく聞こえません。わたくしが迷ったままで途中で死ぬことのないようにして下さい。どうしたらこの世において生と老衰とを捨て去ることが出来るのですか、そのことわりを説いてください。それをわたくしは知りたいのです。」1121 師(ブッダ)は答えた、「ビンギヤよ。物質的な形態があるが故に、人々が害われるのを見るし、物質的な形態があるが故に、怠る人々は病などに悩まされる。ビンギヤよ。それ故に、そなたは怠ることなく、物質的形態を捨てて、再び生存状態に戻らないようにせよ。」1122 「四方と四...
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スッタニパータ【第5 彼岸にいたる道の章】18、十六学生の質問の結語

師(ブッダ)は、マガダ国のパーサーカ霊地にとどまっておられた時、以上のことを説かれ、バーヴァリの門弟である十六人のバラモンに請われ問われる度ごとに、質問に対して解答をのべた。もしもこれらの質問の一つ一つの意義を知り、理法を知り、理法に従って実践したならば、老衰と死との彼岸に達するであろう。これらの教えは彼岸に達せしめるものであるから、それ故にこの法門は「彼岸にいたる道」と名づけられている。1124 アジタと、ティッサ・メッテイヤと、プンナカと、メッタグーと、ドータカと、ウバシーヴァと、ナンダと、またヘーマカと、1125 トーデイヤとカッパとの両人と、賢者ジャトゥカンニンと、バドラーヴダと、ウダ...