【仏教用語/人物集 索引】

空(くう)

投稿日:2000年9月8日 更新日:

空とは、膨れ上がって中がうつろであるという前提があり、転じて、無い、欠けたという意味を持ちます。また、インド数学では0(零)を指す言葉です。

諸々の物事は因縁によって生じたものであって、固定的実体がないということです。つまり、固定的実体がないということを因果関係の側面からとらえた縁起と同様なことを意味します。

空を「何も存在しないこと」と誤って理解してはいけません。また、三解脱門の1つに数えられます。

梵語(サンスクリット語) śūnya シューニャ、 śūnyatā シューニャター
巴語(パーリ語) suññatā スンニャター

初期仏教
・「諸々の生存状態の内に堅固なものを見いださない」(スッタニパータ 5偈
・「自我に固執する見解をうち破って、世界をなりと観ぜよ」(スッタニパータ 1119偈

・「財を蓄えることなく、食物についてその本性を知り、その人々の解脱の境地はにして無相であるならば、彼らの行く路(足跡)は知り難い。空飛ぶ鳥の迹が知り難いように。」(ダンマパダ 92偈

龍樹(ナーガールジュナ)

龍樹が『中論』において説いた空の思想は、以後、全ての大乗仏教思想に最大の影響を与え、すなわち、実体(自性)をたて、実体的な原理を想定しようとするあり方を徹底的に批判し、存在・運動・時間などを含む一切のものが、他との依存、相待、相関、相依の関係、つまり、縁起の上に初めて成立することを明らかにしました。

その相関関係は肯定的、否定的、矛盾的など様々な姿があり、いずれをとっても独立存在は成り立たず、空といわざるをえない。その究極の絶対的立場(真諦/第一義諦)は、言語表現に基づく日常的な真理(俗諦/世俗諦)によりつつ、それを超越して、語られず、表現され得ない。

空の立場からすれば、一方に偏ることがないから、それは中道ともいわれ、後世、その学派は中観派(ちゅうがんは)と呼ばれた。

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