文献

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スッタニパータ – ブッダの言葉

かの尊き師・尊き人、覚った人に礼したてまつる。【 第1 蛇の章 】1、蛇1 身体に蛇の毒がひろがるのを薬で制するように、怒りが起こったのを制する修行者(比丘)は、この世とかの世とをともに捨て去る。蛇が脱皮してふるい皮を捨て去るように。2 池の蓮華を水にもぐって折り取るように、愛欲を断ってしまった修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。 蛇が脱皮してふるい皮を捨て去るように。3 流れる妄執の水をからし尽くした修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。蛇が脱皮してふるい皮を捨て去るように。4 激流が弱々しい葦の橋を壊すように、すっかり驕慢を滅し尽くした修行者は、この世とかの世とをともに捨て去...
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『修証義』(しゅしょうぎ)『正法眼蔵』対応版

『修証義』は、道元禅師の著わされた『正法眼蔵』から、その文言を抜き出して編集されたものです。全文を掲載し、文中にリンクを施している箇所は実際に『正法眼蔵』で掲載している箇所へのリンクです。元々どのように表現されていたのかを確かめることが出来ます。『修証義』は寺院での法要は言うまでもなく、一般の法事などでもよく読まれるお経です。第一章 総 序生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり、生死の中に仏あれば生死なし、 但生死即ち涅槃と心得て、生死として厭(いと)ふべきもなく、涅槃として欣ふべきもなし、是時初めて生死を離るる分あり、唯一大事因縁と究尽すべし。(第1節)人身得ること難し、仏法値ふこと希...
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『法句経』ダンマパダ – ブッダ 真理の言葉

かの尊師・真人・正しく覚った人に敬礼したてまつる。【 第1章 ひと組みずつ 】1 物事は心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく牛の足跡に車輪がついて行くように。2 物事は心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。影がそのからだから離れないように。3 「彼は、我を罵った。彼は、我を害した。彼は、我に打ち勝った。彼は、我から強奪した。」という思いをいだく人には、怨みはついにやむことがない。4 「彼は、我を罵った。彼は、我を害した...
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『正法眼蔵 』(しょうぼうげんぞう)

正法眼蔵は、道元禅師が23年間に渡りまとめ説かれたもので、1231(寛喜3)年8月に最初の巻である『弁道話』をあらわされました。最終巻は示寂の年1253(建長5)年1月に完成した『八大人覚』の巻です。その題名が示すように、釈尊から歴代の祖師をつうじてうけ継いだ正しい教法の眼目をあますところなく収蔵して提示しようとした書物ということが出来ます。その内容の多くは、道元禅師の深い悟りの境涯を、禅師独特の語法で説示した高度なもので、現代においても、日本の生んだ最高の宗教思想書とも評され、世界的にも高い評価がなされており、特に曹洞宗における根本的な聖典です。一般的には95巻とされていますが、それは道元禅...
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ブッダ最後の旅 – 大パリニッバーナ経

【 第1章 】1、鷲の峰にて1 私はこのように聞いた。ある時、尊師は王舎城の鷲の峰(霊鷲山)におられた。その時、マガダ国王アジャータシャトル(阿闍世)は、ヴァッジ族を征服しようと欲していた。彼はこのように告げた。「このヴァッジ族は、このように大いに繁栄し、このように大いに勢力があるけれども、私は彼らを征服しよう。ヴァッジ族を根絶しよう。ヴァッジ族を滅ぼそう。ヴァッジ族を無理にでも破滅に陥れよう」と。(2005年に管理人が撮影した鷲の峰/霊鷲山)2 そこでマガダ国王アジャータシャトルは、マガダ国の大臣であるヴァッサカーラというバラモンに告げて言った。「さあ、バラモンよ、尊師のいますところへ行け。...
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『正信偈』(しょうしんげ)

『正信偈』とは略称で、正式には『正信念仏偈』(しょうしんねんぶつげ)といい、親鸞聖人の著書『教行信証』の「行巻」の末尾にある偈文です。全ての人に同じ心になってもらいたいという親鸞聖人の想いから、七言60行120句の偈文にまとめられたものです。浄土真宗で『正信偈』をお勤めするようになったのは、本願寺第8世蓮如上人(1415~1499年)が越前の吉崎(福井県あわら市吉崎)にいた文明5年(1473年)からです。それまでの浄土真宗では、善導大師の『六時礼讃』を日常のお勤めとしていたのを改め、親鸞聖人の『正信偈』と『三帖和讃』とを合わせて木版で印刷・出版し、僧侶・門徒がともに朝夕の勤行として読誦するよう...
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『典座教訓』(てんぞきょうくん)

典座教訓とは、修行道場で食事を担当する役職である「典座」の心がまえを示した書です。1237年に道元禅師により、自身の中国での修行の経験を踏まえて著されました。それまで日本では注目されることなく軽視されていた典座の職を高く評価し、重要視するべきだと説いています。修行としての食事とはいかなるものであるかを示され、典座の大切さや意義を中国で出会われた老典座との逸話などをまじえ、喜びの心(喜心)・相手を思いやる心(老心)・動じない心(大心)の三心を、調理する者の心とし、素材そのものを生かす料理でなければならないと説かれています。典座教訓に著されている中国・宋での体験は、道元禅師の仏法・修行のあり方に影...
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『教行信証』(きょうぎょうしんしょう)

『教行信証』とは、元仁元(1224)年頃に書かれた親鸞聖人の著作です。正式名称は『顕浄土真実教行証文類』(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)です。全6巻からなる浄土真宗の根本聖典です。法然上人が著した『選択本願念仏集』の解説書とその正しさを証明した文書とされています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・▶ 総序▶ 教巻▶ 行巻▶ 信巻▶ 証巻▶ 真仏土巻▶ 化身土巻・・・・・・・・・・・・・・・・・・顕浄土真実教行証文類序 竊かに以みれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無碍の光明は無明の闇を破する恵日なり。 然れば則ち、浄邦縁熟して、調達、闍世をして逆害を興ぜしむ。浄業機彰れて...
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『般若心経』(はんにゃしんぎょう)

『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)』といい、さらに略して『心経(しんぎょう)』と呼ばれることもあります。サンスクリット語では、प्रज्ञापारमिताहृदय(Prajna-paramita-hṛdaya、プラジュニャーパーラミター・フリダヤ)で、現在一般的に広まっているのは玄奘三蔵が漢訳した『般若心経』(掲載のもの)です。成立年代や成立場所がはっきりしていないものの紀元後300年から400年の間にインド文化圏で成立したと考えられています。なお、現存するテキストで最古のものは、鳩摩羅什(くまらじゅう)が漢訳した『摩訶般若波羅蜜大明呪経』一巻で、402...