『教行信証』化身土巻 – 末02

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 爾の時に諸龍、佉羅坻山聖人の住処に在りて、光味仙人を尊重し恭敬せん。其れ龍力を尽くして、之を供養せん」と。已上抄出

 『日蔵経』巻第九に「念仏三昧品の第十」に言わく、「爾の時に波旬、是の偈を説き已るに、彼の衆の中に一の魔女有り。名づけて「離暗」とす。此の魔女は、曾、過去に衆の徳本を植えたりき。是の説を作して言わまく、「沙門瞿曇は名づけて「福徳」と称す。若し衆生有りて、仏名を聞くことを得て一心に帰依せん。一切の諸魔、彼の衆生に於いて悪を加うること能わず。何に況んや仏を見たてまつり親り法を聞かん人、種種に方便し慧解深広ならん。乃至 設い千万億の一切魔軍、終に須臾も害を為すことを得ること能わず。如来、今者、涅槃道を開きたまえり。女、彼に往きて仏に帰依せんと欲う」と。即ち其の父の為にして偈を説きて言わまく、乃至

三世の諸仏の法を修学して、一切苦の衆生を度脱せん。
善く諸法に於いて自在を得、当来に願わくは我、還りて仏の如くならんと。

 爾の時に離暗、是の偈を説き已るに、父の王宮の中の五百の魔女姉妹眷属、一切皆、菩提の心を発せしむ。是の時に魔王、其の宮の中の五百の諸女、皆、仏に帰して菩提心を発さしむるを見るに、大瞋忿・怖畏・憂愁を益すと。乃至 是の時に五百の諸の魔女等、更た波旬の為にして偈を説きて言わまく、

若し衆生有りて、仏に帰すれば、彼の人、千億の魔に畏れず。
何に況んや生死の流を度せんと欲う。無為涅槃の岸に到らん。
若し能く一香華を以て、三宝・仏・法・僧に持散すること有りて、
堅固勇猛の心を発さん。一切の衆魔、壊すること能わじ。乃至
我等、過去の無量の悪、一切亦滅して余有ること無けん。
至誠専心に仏に帰したてまつり已らば、決めて阿耨菩提の果を得んと。

 爾の時に魔王、是の偈を聞き已りて、大きに瞋恚・怖畏を倍して、心を煎がし憔悴憂愁して独り宮の内に坐す。
 是の時に光味菩薩摩訶薩、仏の説法を聞きて、一切衆生、尽く攀縁を離れ四梵行を得しむと。乃至

 「浄く洗浴し鮮潔の衣を着て、菜食長斎して辛く臭きものを噉ずること勿るべし。寂静処にして道場を荘厳して、正念結跏し、或いは行じ、或いは坐して、仏の身相を念じて乱心せしむること無かれ。更た他縁し其の余の事を念ずること莫かれ。或いは一日夜、或いは七日夜、余業を作さざれ。至心念仏すれば、乃至、仏を見たてまつる。小念は小を見たてまつり、大念は大を見たてまつる。乃至無量念は仏色身無量無辺を見たてまつらん」と。」略抄

(化身土巻 – 末 は続く)

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