示して云く、俗の野諺に云く、「唖せず聾せざれば家公とならず。」と。云う心は、人の毀謗をきかず、人の不可を云わざればよく我が事を成ずるなり。是のごとくなる人を、家の大人とす。
是れ即ち俗の野諺なりと云えども、取って衲僧の行履としつべし。他のそしりにあわず、他の恨みにあわず、いかでか我が道を行ぜん。徹得困の者、是れを得べし。
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『正法眼蔵随聞記』
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