普段何気なく使う「大丈夫」は、もともとは仏教で使われていた言葉です。大丈夫とは、インドの古い言葉(サンスクリット語)で、マハー・プルシャと言いました。マハーは「偉大な」、プルシャは「人間」「男性」という意味です。偉大な人間、偉大な男性のことをいうことから、仏や菩薩のことを指すようになったといわれます。菩薩とは、人々を救う為に、悟りを得ようとしている修行者のことで、観音菩薩や地蔵菩薩など信仰の対象でもあります。
仏典に出てくる例としては、『北本涅槃経』巻三十三には仏の異名を列ねて、「亦は大丈夫と名付く」とあり、『大無量寿経』の異訳である『無量寿如来会』には仏の働きを讃じて、「世尊今日大寂定に入りて、如来の行を行じ、皆悉く円満して、善能く大丈夫の行を建立し」とあり、『大無量寿経』に完全に悟りを得た人(仏)の別号(如来十号)として「調御丈夫(じょうごじょうぶ)」などとあり、日本では、道元禅師の『正法眼蔵』に、「いはゆる雪峯老漢 大丈夫なり」と、師に対する尊称として使われた例もあります。
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