ヨーロッパに仏教国があるのをご存知でしょうか？その国の名はカルムイキア共和国。ヨーロッパ唯一の仏教国です。私がはじめてカルムイキア共和国を知ったのは２００１年７月２２日朝日新聞日曜版の特集記事でした。紙面にはレーニン像の前で踊る数千人の若者の大きな写真が掲載され、毎週末この国の大統領府前広場は巨大な野外ディスコになるといいます。ヨーロッパ唯一の仏教国であることと変わり行く若者の姿を記事にしていたのを大事にとっていました。
カルムイキア共和国は、ヨーロッパ・ロシアの南東部、カスピ海の北西に位置するロシア連邦の自治共和国です。首都はエリスタ。人口は約２９万人（２００７年１月）います。半数がカルムイク人（モンゴル系）で約３分の１がロシア人です。カルムイク人は１６世紀頃から１７世紀頃に部族の内紛で新彊（しんきょう）からこの地に移動してきたといわれています。また、「カルムイキア共和国」という日本語表記の他に「カルムイク共和国」という日本語表記も一般的なようです。
カルムイキア共和国ではチベット仏教が多くの住民によって信仰されています。ソビエト社会主義共和国連邦時代の末期からインド・ダラムサラのチベット亡命政府と接触し、カルムイキア共和国からの留学生の派遣、学識の高いチベット人僧侶の招聘などの交流を開始していました。また、チベット２００８年暴動の際にもカルムイキア共和国の最高僧（シャジン・ラマ）テロ・トゥルク・リンポチェは、チベットの仏教僧と中央アジア及びロシアの仏教共同体の団結を表明し、３月１６日からエリスタの寺院で中国公安当局により殺害された僧侶達の追悼が行われ、紛争の平和的調停を支持する祈祷が行われました。
カルムイキア共和国の大統領であるキルサン・イリュムジーノフは、国内に多くの仏教寺院を建設しています。真意は定かではありませんが「ダライ・ラマを招いて宗教国家にする」といった発言をする一方、同時にキリスト教、イスラム教など他の宗教とも融和策を取り、宗教の融和にも成功しています。また、大統領自身が日ソ合弁企業などで働いていたことから日本語にも堪能だとか。親近感を持てる国ですね。
参照したサイト
ニジェガローツキー・ドヴォール http://dvor.jp/index.htm
カルムイク共和国 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/
チベット2008年暴動 国際社会の反応 http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq18m02r03.html