『理趣経』(りしゅきょう)
『理趣経』は様々な時代に漢訳されていますが、現在、真言宗で常用されている『般若理趣経』は、中国・長安の大興善寺の不空三蔵によって、763年から771年にかけて、粛宗帝の勅により国家事業として漢訳されました。弘法大師が唐から帰国の際、朝廷に持ち帰った経巻宝物等の内容を示した『請来目録』には、「新訳等の経」の一巻として『金剛頂瑜伽般若理趣経』とあるのが、この不空三蔵漢訳の『般若理趣経』のことだと考えられています。『理趣経』は、最初の序説と最後の流通(るつう)を除くと、17の章節で構成されています。1.大楽の法門 - 金剛薩埵の章2.証悟の法門 - 大日如来の章3.降伏の法門 - 釈迦牟尼如来の章4...