・大宝寺 曹洞宗 兵庫県宝塚市平井2-16-15
大宝寺境内には明治時代のはじめまでは常福寺という寺院があったが廃仏毀釈により廃寺。よって、寺院の創建、開基は不詳ながら、この一帯は10世紀初頭頃には源満仲一族の荘園で、同時期に境内に隣接する八阪神社が勧請されたと伝えられる。また、摂陽群談では八阪神社は宝徳元年(1449年)建立とある。
現在の八阪神社の本殿は16世紀中頃の建立で、貞享元年(1684年)に補修されている。なお、牛頭天王を祭神として牛頭天王社と号していたが、明治2年(1869年)、廃仏毀釈により祭神名を素盞嗚命へ改め、社名を八阪神社に改称した。恐らく、常福寺も八阪神社と同時期に存在していたであろうことは想像の域を出ない。
明治9年、廃仏毀釈で廃寺になった元・常福寺境内へ隣町に当たる山本にあった元宝庵を移転し、明治11年大宝寺と改称。本尊は聖観音立像。両脇には大日如来。どの仏像も異なる寺院から移転の際に招来されたと思われる。
大宝寺境内には本堂とは別に不動明王堂があり、源満仲ゆかりと伝えられる宝塚市の指定文化財の不動明王像(室町時代作)が安置されている。
不動明王堂の前にある宝篋印塔(鎌倉時代末期作)も宝塚市指定文化財であり、当寺で最も古いものであるが、水野梅秀住職(大宝寺7世)によると先の多田院由来の宝篋印塔と考えられることから、もっと前の時代のものかもしれないが、県指定や国指定になると管理が大変だからこのままでいいとのこと。
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