日本には「武士に二言はない」という言葉があります。武士は信義と面目を重んじることから、一度口にした言葉を取り消したり、約束を破るようなことはしないということです。同様に「男に―」「女に―」という使われ方もします。
約束を守るということは大切なことですが、この世の中は常に変化している無常です。約束の前提条件が変わっているのなら、約束も変更が必要になります。選挙でよく聞く言葉でもありますが、政治が信用されないのはこの部分に政治家がしがみつき、周りも「武士に二言はない」という非現実的な要求をしているように見えます。政治だけではなく、企業間、個人間も同様です。
また、インターネット社会になり、例えばウェブサイトの内容を修正するということは会社でも、学校でも、個人でも、よくあることだと思います。しかし、その修正に対して「武士に二言はない」と言わんばかりに、苦情を入れることがよくあるそうです。修正とは、間違いを見つけたから、期限が来たから、方針が変わったからなどから行われます。
これは自然な行動で、変更が必要だから修正しただけです。批判されるようなことはありません。三業という言葉があり、ある一つの活動をしながら、役に立っているならば続ければ良いし、役に立っていないならば調整します。その結果、役に立ったか判断して、役に立ったのであれば続ければ良いし、役に立たなかったのであれば、二度と行わないように反省するという生き方です。
このように、続ける、調整、反省を繰り返しながら、団体、個人でやっていく。団体間、個人間で関わっていく、それが事実に即していることだと感じます。「武士に二言はない」という言葉を念仏のように信じて言うことが幸せだとは思えませんが、皆さんはどうでしょうか?