【仏教用語/人物集 索引】

スッタニパータ【第4 八つの詩句の章】10、死ぬよりも前に

投稿日:0202年5月28日 更新日:

848 「どのように見、どのような戒律を保つ人が「安らかである」と言われるのか?ゴータマブッダ)よ。おたずねしますが、その最上の人のことをわたくしに説いてください。」

849 は答えた「死ぬよりも前に、妄執を離れ、瞬間瞬間に推移していく時間的な過去にこだわることなく、現在においても、くよくよと思い巡らすことがないならば、彼は未来に関しても特に思いわずらうことがない。

850 かの聖者は、怒らず、おののかず、誇らず、後で後悔するような悪い行いを為さず、よく思慮して語り、そわそわすることなく、言葉を慎しむ。

851 未来を願い求めることなく、過去を思い出して憂えることもない。現在、感官で触れる諸々の対象について遠ざかり離れることを観じ、諸々の偏見に誘われることがない。

852 貪欲などから遠ざかり、偽ることなく、貪り求めることなく、物惜しみせず、傲慢にならず、嫌われず、両舌(陰口)を事としない。

853 快いものに溺れることなく、また高慢にならず、柔和で、弁舌さわやかに、信ずることなく、何かを嫌うこともない。

854 利益を欲して学ぶのではない。利益がなかったとしても、怒ることがない。妄執のために他人に逆らうことなく、美味に溺れることもない。

855 平静であって、常によく気を付けていて、世間において他人を自分と等しいとも思わない。また自分が勝れているとも思わないし、また劣っているとも思わない。彼は煩悩の燃え盛ることがない。

856 依りかかることのない人は、理法を知ってこだわることがないのである。彼には、生存の断滅のための妄執も存在しない。

857 諸々の欲望を顧慮することのない人、彼こそ平安なる者であるとわたしは説く。彼には締める結び目は存在しない。彼はすでに執著を渡り終えた。

858 彼には、子も、家畜も、田畑も、地所も存在しない。すでに得たものも、捨て去ったものも、彼の内には認められない。

859 世俗の人々、または道の人・バラモンどもが彼を非難して貪りなどの過があるというであろうが、彼はその非難を特に気にかけることはない。それ故に、彼は論議されても、動揺することがない。

860 聖者は貪りを離れ、物惜しみすることなく、「自分は勝れたものである」とも、「自分は等しいものである」とも「自分は劣ったものである」とも論ずることがない。彼は分別を受けることのないものであって、妄想分別に赴かない。

861 彼は世間において我がものという所有がない。また無所有を嘆くこともない。彼は欲望に促されて、諸々の事物に赴くこともない。彼は実に平安なる者と呼ばれる。」

⇒ 続きは 11、争闘 ⇒ 目次(はじめに戻る)

※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。

なお、底本としてパーリ語経典の『スッタニパータ』を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダの言葉」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。

<< 戻る

-仏教を本気で学ぶ
-, ,



Copyright © 1993 - 2024 寺院センター All Rights Reserved.