【仏教用語/人物集 索引】

スッタニパータ【第3 大いなる章】1、出家

投稿日:0202年5月28日 更新日:

【 第3 大いなる章 】

1、出家

405 眼ある人(釈尊)はいかにして出家したのであるか、彼はどのように考えたのちに、出家を喜んだのであるか、彼の出家をわれ(アーナンダ)は述べよう。

406 「この在家の生活は狭苦しく、煩わしくて、塵のつもる場所である。ところが出家は、広々とした野外であり、わずらいがない」と見て、出家されたのである。

407 出家されたのちには、身による悪行を離れた。言葉による悪行をも捨てて、生活をすっかり清められた。

408 目ざめた人(ブッダ)はマガダ国の首都・山に囲まれた王舎城に行った。すぐれた相好にみちた目ざめた人は托鉢のためにそこへ赴いたのである。

409 マガダ王ビンビサーラは高殿の上に進み出て、彼を見た。すぐれた相好にみちた目ざめた人を見て、侍臣にこのことを語った。

410 「あなたたち、この人を見よ。美しく、大きく、清らかで、行いも具わり、眼の前を見るだけである。

411 彼は眼を下に向けて気を付けている。この人は賤しい家の出身ではないようだ。王の使者どもよ、走り追え。この修行者はどこへ行くのだろう。」

412 派遣された王の使者どもは、彼のあとを追って行った。「この修行者はどこへ行くのだろう。彼はどこに住んでいるのだろう」と。

413 彼は、諸々の感官を制し、よく守り、正しく自覚し、気を付けながら、家ごとに食を乞うて、その鉢を速やかにみたした。

414 聖者は托鉢を終えて、その都市の外に出て、パンダヴァ山に赴いた。彼はそこに住んでいるのであろう。

415 ゴータマブッダ)がみずから住所に近づいたのを見て、そこで諸々の使者は彼に近づいた。そうして一人の使者は王城に戻って、王に報告した、

416 「大王さま。この修行者はパンダヴァ山の山窟の中に、また獅子のように座しています」と。

417 使者の言葉を聞き終るや、そのクシャトリヤ(ビンビサーラ王)は荘厳な車に乗って、急いでパンダヴァ山に赴いた。

418 かのクシャトリヤ(王)は、車に乗って行けるところまで車を駆り、車から下りて、徒歩で赴いて、彼に近づいて坐した。

419 王は坐して、それから挨拶の言葉を喜び交わした。挨拶の言葉を交わした後で、このことを語った。

420 「あなたは若く青春に富み、人生の初めにある若者です。容姿も端麗で、生まれ貴いクシャトリヤ(王族)のようだ。

421 象の群を先頭とする精鋭な軍隊を整えて、わたしはあなたに財を与えよう。それを享受なさい。わたしはあなたの生まれを問う。これを告げなさい。」

422 釈尊が言った、「王さま。あちらの雪山(ヒマーラヤ)の側に、一つの正直な民族がいます。昔からコーサラ国の住民であり、富と勇気を具えています。

423 姓に関しては太陽の裔といい、種族に関しては釈迦族といいます。王さまよ。わたしはその家から出家したのです。欲望をかなえるためではありません。

424 諸々の欲望に憂いがあることを見て、また出離こそ安穏であると見て、つとめ励むために進みましょう。わたくしの心はこれを楽しんでいるのです。」

⇒ 続きは 2、つとめ励むこと ⇒ 目次(はじめに戻る)

※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。

なお、底本としてパーリ語経典の『スッタニパータ』を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダの言葉」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。

<< 戻る

-仏教を本気で学ぶ
-, , , , , , , , , , ,



Copyright © 1993 - 2024 寺院センター All Rights Reserved.