食堂とは、仏教寺院において僧侶が斎食(さいじき:正午や決まった時間にとる食事)をとるための主要な建物で、七堂伽藍の一つに数えられます。斎堂ともいいます。食堂は単に食べる場所ではなく、作法にかなった起居動作を行って食事をいただくところで、インド、中国においても、食堂で僧侶が集まり食事を行うことは大事な修行でした。その起源は、托鉢した食事をいただくことだと考えられます。
そのような食堂の持つ意味合いは徐々に薄れ、単に食べる場所は他の建物の機能に移ることもありました。ただし、禅宗においてのみ、食堂は僧堂(そうどう)と呼ばれてその修行と意味を現代に伝えています。また、食堂の本尊には、賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)や僧形文殊菩薩像を安置されることが多いようです。他にも興福寺では丈六の千手観音菩薩を本尊としていたという記録があり、2017年に三度目の再建となった薬師寺の食堂には阿弥陀三尊浄土図が本尊とされています。
なお、明治時代になって、学校や施設で食事をとる場所や食事をさせる店をも食堂と呼ぶようになり、音もジキドウから漢音読みのショクドウに変化しました。
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