玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)

投稿日:0664年2月5日 更新日:

 
玄奘三蔵とは、中国(唐)の訳経僧です。玄奘とは僧名で、また諱でもあります。僧の最高峰である「三蔵」の号を得た高僧で、初代三蔵の鳩羅摩什(くまらじゅう)とともに「二聖」、あるいは真諦と不空金剛を含めて「四大訳経家」とも呼ばれます。法師、三蔵などが付いているのは尊称です。現在の河南省に生まれ、俗名は陳褘(ちんき)、諡(おくりな)は大遍覚(だいへんがく)です。629年に陸路でインドに向かい、645年に経典657部や仏像などを持ち帰った旅が『大唐西域記』として残されています。法相宗の開祖です。

10歳で父を亡くした玄奘は、次兄の長捷(陳素)が出家して浄土寺(洛陽)に住むようになり、自身も浄土寺に学び、11歳にして『維摩経』と『法華経』を読むようになりました。玄奘は若すぎたため度僧の募集試験を受けられなかったので、門のところで待ち構えていました。これを知った隋の大理卿である鄭善果は、玄奘に様々な質問をして、最後になぜ出家したいのかを尋ねたところ、

玄奘は「遠くは如来(にょらい)の遺法(いほう)をつぎ、近くはその遺法を輝かしたいのです」と答えました。

これに感じ入った鄭善果は、「この風骨は得がたいものだ」と評価して特例を認め、玄奘は度牒を得て出家が叶いました。13歳で『涅槃経』と『摂大乗論』を学びます。

隋が衰え、唐が建国された618年、国が乱れ洛陽の情勢が不安定になると、17歳で荘厳寺(長安)に移りましたが、街全体が戦支度に追われるようで落ち着いて仏教を学ぶ環境がありませんでした。619年には戦乱の及んでいなかった益州(四川)の成都に兄とともに移り、『阿毘曇論』を学び、『涅槃経』、『摂大乗論』、『阿毘曇論』の研究をすすめました。

622年、21歳の玄奘は成都で具足戒を受けます。行動をともにしていた兄・長捷は、空慧寺(成都)に留まることになり、玄奘はひとりで旅立ち各地で仏教を学びます。趙州では『成実論』を、大覚寺(長安)では『倶舎論』を学んでいます。

このように各地で仏教を学びますが満足できず、また、仏典の研究には原典によるべきだと考えた玄奘は、629年、26歳のときに出国の許可を唐の役人に求めましたが出国の許可が下りなかったため、玄奘は仕方なく秘かにに長安を出発します。

昼間は役人の監視を逃れながら隠れ、夜間には西を目指すという苦労をしながら河西回廊を経て、唐の領域を抜け、西域に入り高昌国に着きます。高昌王である麴文泰は、熱心な仏教徒でもあり、玄奘のインドへの強い思いを知り、金銭と人員の援助に加え、通過予定の国に対して保護・援助を求める高昌王名の文書を持たせてくれました。

玄奘は西域の商人らに混じってクチャなどタクラマカン砂漠を抜けて、さらにパミール高原の北側を廻り、西突厥を通ってタラス、サマルカンド、バーミヤンなどを訪ね、ヒンドゥークシュ山脈を越え、ついにインドに達しガンダーラに入りました。そのころのインドは、ヴァルダナ朝のハルシャ王の時代で、仏教は保護されていましたが、ヒンドゥー教も盛んでした。

玄奘はナーランダ大学では戒賢(シーラバドラ)に師事し、5年間、唯識や仏典の研究を行いました。また、北インド各地を旅して仏跡を尋ねています。帰路は同じく中央アジア経由で645年に657部の経典や仏像などを長安に持ち帰りました。17年にわたる大旅行でした。その旅行を弟子たちがまとめ『大唐西域記』が著わされ、後の元の時代には、それを基に読み物にした呉承恩の『西遊記』も有名です。

玄奘が帰国した時には唐の情勢は安定しており、太宗も玄奘の業績を高く評価したので、16年前の密出国の件について玄奘が罪を問われることはありませんでした。玄奘は弘福寺(長安)の翻経院で翻訳事業を開始し、後に大慈恩寺(長安)に移ってインドから持ち帰った仏典の漢訳に従事します。その正確な翻訳は「新訳」といわれ、それ以前の鳩摩羅什らの「旧訳」に代わって広く用いられるようになりました。

また、持ち帰った経典や仏像などを保存する建物の建設を次の皇帝・高宗に進言し、652年、大慈恩寺に大雁塔が建立されます。その後、玄奘は玉華宮に移りますが、翻訳作業はそのまま亡くなる直前まで続けられました。

653年に遣唐使の一員として入唐した日本人・道昭に法相宗の教えを伝えています。また、道昭に禅宗第二祖の慧可の弟子である隆化寺の慧満を紹介し、日本に禅が伝わるきっかけともなりました。

麟徳元年2月5日(664年3月7日)、玄奘は『大般若経』の翻訳を完成させた百日後に玉華宮で亡くなりました。

生誕 602年(598年説、600年説もある)

命日 麟徳元年2月5日(664年3月7日)

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